結合男子小説

序・てつくずのゆめのあと

 風一つ吹かない、暗くて静かな夜の中にその男が佇んでいた。外套は黒。髪の色は白。月すら浮かばない夜の闇に紛れて人相は認識できなかった。 ものも言わず、動くことも無く、ただどこかを眺めるように突っ立っている。その姿を見つけて、声をかけようかと…

迷子の夢

仁武一那空縁後の一那さんの話。 不思議な夢を見て迷子になっちゃった一那と、そんな一那さんの様子に既視感がある朔と、何も知らないけれど分かっている栄都の話。 ちょっとだけ媒人がでます(雰囲気)。ご注意をば。 「分からなくたって、案外どうにでもなるもんだ。誰だって歩く道なんて分からないんだから」

彼岸に向けて

玖苑さんお誕生日おめでとう!なお話。 なのにちょっと暗くなってしまった。 暦は今年を参照して、20日が彼岸の入りとして書いています。 50日を超えたおよそ1年後、2回目の誕生日と彼岸がやってきたね、っていうお話。 ・少なくとも玖苑さんと仁武さんは特選志献官ではない世界線 ・しれっと捏造の未来(仁武さんが志献官辞めたとか)がねじ込まれています

氷菓子の溶けないうちに

七瀬と媒人さんがアイス食べているだけの話。 七瀬→媒人さんってわりに悪感情ってないし、かといってスーパー塩かっていえばそうでもないよなって思って書きました。 性別不詳の媒人さんがしゃべりますのでご注意を。 ところで私これ書いた後に栄都七瀬クリアしたんですよね。しんどい……

名前はきっといらないまま

仁武×媒人(結月怜)な話。 ※媒人について 身長160前半 性別不明 名前:結月怜(デフォルトネーム) で書いています 以下注意ください。 ・かっこいい仁武さんはいません ・仁媒な要素強め……で書いてます ・両片思い(仁武無自覚、媒人意識的な無自覚) ・あんまり救いは無いように見えるかも ・付き合っては無い ・媒人の独白多め 酒で潰れちゃった仁武さんとお疲れ気味で思考回路死んでた媒人が一緒に寝る話。 あるいはその感情に名前をつけない話。

トランス・トランス・パニック!

頭の悪い話。IQを1にしてお読みください。 年長組+媒人が女体化してギャアギャア騒ぐ話。気が向いたら続きを書いてるかも。というか書いてるので近いうちに続きあげます。 本当に頭の悪い話。主に仁武さんが常に胃が痛いしてる。 IQを下げてからお読みください。 合言葉は「細けぇことはいいんだよ!!!!」

激励、あるいは

繰り返しn回目媒人と仁武さんのある日の話。 登場志献官に深い意味はあんまりないです。 ・媒人がいっぱい出ます ・仁武➝媒人へのクソデカ感情有 ・例によって仁武のメンタルは芳しくない 「まあそれはさておき、仁武」 「どうかしたか」 「あの子には謝ったのかい?」 「………………いや、タイミングをだな、逃して……いやすまない今すぐ行ってくる」

死人の口に蓋をする

50日のすぐ後の話。 メンタル限界かつ媒人に負い目を感じている仁武さんと、それでも前を向くしかないよと諭す玖苑さんの話。 ……あるいは、媒人の不始末とそれを巡る残された人間の話。 「死人の口は開かない、か」 「故に生者は死人を都合よく扱うしかないのさ」

明日が怖い夜にはこんなふうに

50日の少しあとの話。メンタル限界の仁武さんと便乗して泣きに来た玖苑さん。 ※ぼかしてますが首が落ちてる描写と嘔吐の描写があります。 ※かっこいい仁武さんはいません。 空縁かもしれないし彩縁の後かもしれない。 少なくとも仁武と玖苑は特選志献官ではない世界。 結局本筋にかかわれず、ずうっと残されてきた二人が、やっと最後にこぼせた弱さの話。 「でもまあ、それでも明日はやってくるんだ。やることは山積みらしい」 「いい加減過労で倒れそうだな……」 「それはいいね!過労を言い訳にして休むといいさ」 「……それはそれでありかもしれないな。もう、志献官が命懸けで戦う必要も、ない」 「ははっ、本当にそうだ。最高じゃないか、仁武?」

塵に還る道

錆化進んだから実家でペンを取ってる仁武さんに会いに来た玖苑さんの話。 あんまり意味は無いです。こんなこともあったのかな、という妄想。 「別にキミじゃなくたっていいと思うけど」 「まったく、つまらない男だね、仁武」 「……はいはい、悪かったな」

熟して褪せた言葉

仁武と十六夜が特選志献官にはならなかった世界線 50日を乗り越えたその少し先の話。 リスペクト先:魔法使いの嫁 「言葉は時間を経るほど熟していくものではあるが、時間が経つほど色褪せていくものでもあるからね」 ――ならば、失って喪って、吐き出したかった言葉を飲み込み続けてきた彼らは何を吐き出せるのだろう?